プロジェクトインフラ分野

 

 建設中の保険は、FIDIC約款に基づき、コントラクターが付保することが以前は一般的でしたが、近年ではプロジェクト・ファイナンスを活用する案件の増加に伴い、事業会社(オーナー)付保が主流になりつつあります。ここでは近年の動向に沿い、オーナー付保のメリットをご紹介したいと思います。

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保険カバーのコントロール

コントラクターは、工事契約上の自らのリスクを中心に保険手配する傾向があり、(例えば、契約上で天災などの不可抗力事由による事故はコントラクターの免責となっている場合、当該リスクの保険カバーを手配しない)コントラクター付保とする場合は事業会社として注意が必要です。オーナー付保とすることで、免責額設定・特約付帯・保険会社選択など、事業会社の抱えるリスクに対して適切な保険カバーを用意することが可能となります。

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保険の一本化

複数のコントラクターに分離発注をする場合、各々のコントラクターが個別に保険を手配することで、付保漏れや重複が生じる可能性があります。また、保険条件(免責金額など)も不統一となる可能性が高く、オーナー付保とすることにより、全体を一括で管理することが可能となります。

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保険の透明化

コントラクター付保の場合は、保険料が工事請負金額の中に隠れてしまうこともあり、本来の保険料が不透明となりがちです。一方、オーナー付保にすることにより、保険料の透明性を確保出来るだけでなく、再保険契約や保険料の構成に至るまで、保険プログラムの詳細を把握することが可能となります。

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レンダーの意向

プロジェクト・ファイナンスを活用する場合、レンダーは借り手である事業会社と保険条件の協議を行うこととなります。レンダーは、コントラクター付保ではなく、事業会社により直接保険がコントロールされる体制を望むことが多いのです。

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DSU付保の可能性

プロジェクト・ファイナンスを活用する場合、返済原資を確保したいレンダーの要求により、DSUを付保することが多くなっております。これらは、事業会社の逸失利益を補償する保険であり、原則として事業会社が付保しなければなりません。また、DSUの単独手配は実務的に極めて難しく、Marine Cargo/CARとともに事業会社として一括手配する必要があります。

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操業期間の保険への繋ぎ込み

操業期間中の保険は事業会社で保険を手配することとなりますが、建設中に手配している保険との整合性・一貫性を考慮する必要があります。特に完工時期の分かれるプラントが複数存在する場合、双方の保険カバーの調整が難しく、効果的に保険を手配するには、事業会社が双方をコントロールすることが望ましいのです。